する事が何もなく、退屈している神様と神様の会話から、この物語は始まった。
『暇だねー。』
『暇、だねー。』
神様だからといっても、何もする事がないと面白くない。
『何か面白い事はないかねー。』
『ないかねー。』
雲の上で寝転びながら、神様は思いついた。
スッと手を伸ばし、ピカピカ光る星を掴んだ。
『これを地上に置いたらどうなるかね?』
『置いてみよう、置いてみよう。』
面白くなりそうだと、神様と神様はニコニコ。
ピカピカ光る星を神様が両手でギュっと握ると、小さな光る石に早変わり。
雲の上から、光る石をポイッ。
『さぁ、どうなる?』
『どうなる?どうなる?』
神様と神様は雲の端から、地上をのぞいた。
光る石に近づく動物たち。でも、拾おうとはしない。匂いを嗅いで、ただの石と分かったもんなら、食べれない物には興味がなかった。
『誰も拾わないね。』
『食べ物じゃないとダメなのかね。』
その時、初めて光る石を拾った動物がいた。
それは、人間という動物だった。
興味があると欲求が止まらないこの動物。
神様と神様はこの後、どうなるかワクワク。
早くこの後がどうなるのか気になって、我慢しきれずに地上に降りて、こう伝えた。
『これは、なんて珍しい石を手にしたんだ。』
『なかなか手に入らないね、これは。』
光る石が珍しいモノだと知った人間は嬉しそう。今の気持ちを誰かに伝えたい、自慢したい。
だから、村へと持ち帰っていった。
神様と神様は楽しそう。
『この後、どうなる?』
『どうなる?どうなる?』
人間は村のみんなに自慢した。
見つけ出した事は、すごい事なんだと自慢した。
周りに羨ましく思われたい人間は、見たいなら自分に食べ物を渡すように伝えた。
雲の上に戻って、その様子をみていた神様と神様。
『やっぱり、食べ物が欲しいんだ。』
『石じゃ、食べれないもんね。』
村中の食べ物が、拾ってきた人間の元に集まった。簡単に食べ物が手に入るようになった人間は嬉しそう。
神様と神様はお互いの顔をみた。
『良い事をしたね。』
『良い事をしたね。』
だけど、それが気にくわない人間がいた。
だから、その人間は光る石を盗んでしまった。
たちまち、盗まれた人間は大慌て。
見つけてくれたら全ての食べ物をあげると言った。村中のみんなは光る石を探しまわった。
運良く盗まれた石を見つけた人間は、なぜか、また盗んだ。
盗むだけではダメだ思ったこの人間。
本物とそっくりなニセモノの石を作った。
来る日も来る日もニセモノの石を作った。
どんどん、どんどん増えていくニセモノの石。
すると村中の人間が、ニセモノの石が欲しがるようになった。
それを見ていた神様と神様は、本物の光る石を盗んだ。
『面白くなくなったね。』
『石じゃ、食べれないのにね。』
光る石をポイっと、空に投げた。
石は、またピカピカ光る星に戻った。
『暇だねー。』
『暇、だねー。』
神様と神様が雲の上でゴロゴロ。
人間たちはどうなったかって?
ただの石を取り合う日々を送るのでありました。
[第20話]