物語

着ぐるみモンスター

モンスターが今生まれました。

ヒトと同じ、鳴き声は「オンギャー」です。

鏡なんてものはしらない。

だったら、モンスターは自分をヒトだと思うよね。

でも、知っちゃった。

ヒトじゃない、モンスターなんだって。

なんで生まれたの?

どうすればいい…

ヒトの役に立てばいいのかな?

普通にならなくちゃ。

周りと同じにならなくちゃ。

でも、何か違う…

本当の自分を隠すのって

何か違う。

そんな時、「何かあったの?」って

声をかけてくれたヒトがいたんだ。

うまく言えないけど、全部言った。

だったら、

「モンスターだと生きるの大変ね」って

イヤじゃない笑顔だったそのヒトは、

「ねぇ、辛かった事をお話にしてみたら?」って

そうすれば、

「どこかで悩むモンスターも救えるんじゃない?」って

いや、モンスターだけじゃない

「ヒトの心も変わるかも!」って

「始めてみないと何も変わらないよ」って

だから、物語を書きはじめた。

ありのままが恥ずかしいなら、

着ぐるみを着たまま…

いつか脱げる日を信じて。

[第10話]